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 感動写真集

2008年12月19日改訂

今 日

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♪rise"Mahadeva"/anoushka shankar

 

涼しげに眠れる女神岩の中   北舟

 

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The goddess sleeping pleasantly cool in a rock.

2008年12月19日制作

エローラ第32窟の彫り掛けの顔

エローラ第32窟の彫り掛けの顔(インド・デカン高原)

エローラ石窟寺院

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ジャイナ教窟へ

 第16窟をほぼ中央とし、右手の側(南の側)に仏教窟とヒンドゥー教窟、左手の側(北の側)にはヒンドゥー教窟(17窟から29窟)が広がっています。帰りの飛行機の時間の関係で、17窟から29窟の撮影ははしょり、16窟から北へ約1kmのところにあるジャイナ教窟群へ車で向かいました。エレファンタ島と構成が非常に似ている29窟や、ガネーシャ小石窟群を撮影出来なかったことは非常に残念でしたが、インドがまた呼んで呉れているのだと勝手に良いように解釈し、次回の撮影旅行の楽しみにとっておきたいと思います。

 ジャイナ教窟は、ヒンドゥー教窟第29窟から約500m離れて、全部で6窟で構成されています。小窟を除き、第30窟から第34窟までの番号が振られています。仏教窟やヒンドゥー教窟からは約1〜2世紀遅れて、9世紀から10世紀にかけて、少し離れた土地で、開窟されています。
 ジャイナ教は、ガンタ・ナータプッタが紀元前6世紀頃布教した宗教で、釈迦とほぼ同時代にインドで広まった宗教です。ガンタ・ナータプッタは、尊称で「ジナ」と呼ばれていて、ジャイナは「ジナの教え」という意味です。ジナは、「マハヴィーラ」の尊称でも呼ばれることもあります。
 ジャイナ教は、アヒンサーと呼ばれる不殺生に特徴があり、生き物を殺すことを厳禁した宗教です。そのため、農民層ではなく、都市の商人層に広まり、2500年を経た現代でも約450万人の信者がインド内に居ると言われています。人口の0.5%にも満たないのですが、商業界に強い影響をもっているせいで、ジャイナ教徒間の固いコミュニティーを持っているとも言われています。私もインドで数多くのスタッフを使って来ていますが、ジャイナ教徒は、ただ一人だけでして、彼の専門は、エンジニアでした。数字に強いということでしょう。
★☆★彡
第32窟(ジャイナ教窟)

 右手の門がある方が、インドラ・サバー窟と呼ばれる第32窟です。左手の2階建ての石窟寺院が第33窟です。

インドラ・サバー窟(第32窟)

インドラ・サバー窟(第32窟)

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 第32窟の寺院側から入り口の門の方を撮影していますが、中庭には、祠堂や、飾り柱、象などが、丸みを帯びた見事な曲線で彫り出され、第16窟のカイラ−サナータ寺院の建設様式の影響を受けていることがわかります。

中庭の祠堂

中庭の祠堂

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 第32窟を2階で撮影しています。柱や壁の浮き彫りが見事です。第33窟とは2階が繋がっていて、左奥の狭い通路から、第33窟に抜けることが出来ます。  

第32窟の2階

第32窟の2階

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 1階の広間です。本尊には、開祖ジナの坐像があり、左右に、2体ずつ、祖師が並んで座っています。裸体の坐像であることが特徴です。

第32窟1階の広間

第32窟1階の広間

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 ジャイナ教窟で、著名なのが、バニアン樹の下に座る象に乗った男神と、マンゴ樹の下に座るライオンに乗った女神像です。入り口の左右に鎮座し、寺院を守っています。
 入り口左側の男神。高さは1mぐらいです。バニアン樹は、広く東南アジアにも分布し、大木であり、太い枝から縄のような気根を下ろしているので、すぐ見分けがつきます。

バニアン樹の下に座る男神

バニアン樹の下に座る男神

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   こちらは、女神。たわわな乳房とたわわに実ったマンゴが、豊穣感を見事に表現しています。ジャイナ教窟中の彫刻で、もっと優れた作品であると思います。マンゴの樹は、こんもりとした緑色で、遠目にも分かり易いですが、実がたわわに樹に生ってている姿は土地の豊かさ、樹の生命力の強さを感じさせます。あの柔らかで甘い果肉を想像するだけでよだれが出て来そうです。  

マンゴ樹の下に座る女神

マンゴ樹の下に座る女神

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 彫り掛けの顔。岩の中から今にも出て来そうな女性の顔です。時間が千年止まったようで、エローラの撮影の中では大好きな一枚ですので、ご紹介させて頂きます。
  涼しげに眠れる女神岩中  北舟 

すずしげに ねむれるめがみ いわのなか

The goddess

sleeping pleasantly cool in a rock.

エローラ第32窟の彫り掛けの顔

エローラ第32窟の彫り掛けの顔

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第33窟(ジャイナ教窟)

 すぐ隣にある第33窟も2階建てです。左手向こうに第34窟がありますが、ここでは写っていません。

2階建てのエローラ第33窟

2階建てのエローラ第33窟

 1階の広間と祠堂のジナ像です。天井には蓮華の見事な浮き彫りがあり、柱も凝った作りになっています。仏教窟やヒンドゥー教窟に比べて、若干、華美な感じを受けると思います。  

第33窟1階の広間と祠堂

第33窟1階の広間と祠堂

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 壁面の座禅を組む祖師の二人。ジャイナ教には24人の祖師(ティールタンカーラ)が居ると言われており、信者は、この回廊を回りながら礼拝することが出来ます。  

座禅を組む祖師

座禅を組む祖師

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プロフィール

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撮影・原作 : 
 

丹下誠司たんげせいじ

 

職業:大成建設(株)勤務

住居:東京都国分寺市
趣味:インドの神像収集
  (前任地のインドネシアの絣(イカット)も100枚ほどのコレクションがあります)

撮影後記

  2005年8月の撮影から3年ほど経って、エローラ遺跡の画像をやっとまとめることが出来ました。撮影を逃した第17窟から第29窟は、死ぬまでにもう一度、撮影で乗り込んでみたいと思っています。3日間は連泊して撮影してみたいものだと思います。
 
 前日のアジャンタ遺跡に続き、またも暗い窟内でシャッターが下りず、手ぶれで悩みましたので、素人という腕のせいもあるのでしょうが、暗闇専用モード付きデジタル一眼の登場に期待したいものです。インドは、こうした文化遺跡ですと、撮影は自由に許されているところが多いのですが、特別な許可のない限り三脚の使用は禁止ですので、どうしてもカメラを手に持っての撮影となり、採光はいかんともしがたく、暗くてシャッターが思うように切れず苦戦してしまいます。フラッシュをたくと、自然の色にはなりませんし、辛いところです。
 
 最後になりましたが、佐藤宗太郎先生のエローラ石窟寺院(木耳社:佐鳥出版)には、画像と図版の照合などで、大変参考にさせて頂きました。1977年の出版で日本語版は限定1000部印刷であり、まず国会図書館で閲覧後、ネット市場で京都の古本屋から手に入れることが出来ました。大量に出版され、大量に消えていく今の出版状況の中ですが、ここまでの画像と研究資料を残されていることに、残る本とは何かを教えて下さるような分厚い一冊でした。佐藤先生の研究の成果であるこの御本が無ければ、自分の画像を今回まとめることはとても不可能だったと思っております。本当に感謝しております。 2008.12.19

参考図書

           佐藤宗太郎 エローラ石窟寺院 佐鳥出版
           武澤秀一 建築巡礼27  空間の生と死 アジャンタとエローラ  丸善
           週刊 世界遺産  No.88 エローラの石窟寺院群  講談社
           KAILAS(カイラス)  チベット聖地巡礼  松本栄一写真集 小学館
           三蔵法師のシルクロード  高橋徹&後藤正  朝日新聞社
           インドを書く  山内利男  論創社
           定本インド花綴り  西岡直樹  木犀社訳

★☆★彡

感動写真集〈 第106集 〉「インド世界遺産・エローラ石窟寺院」

撮影・原作 : 丹下誠司  監修:和田義男

 平成20年(2008)12月19日 作品:第36作 画像:(大69+小14) 頁数:6 ファイル数:165 ファイル容量:29MB
 平成12年(2000)〜平成20年(2008) 作品数:307 頁数:1,121 ファイル数:37,703 ファイル容量:5,990MB

孫と一緒に

孫と一緒に

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エローラ石窟寺院の感動
 2008年もあと10日あまりで終わろうとする頃、今年4月に発表した「タージ・マハル探訪記」に続く、インド世界遺産シリーズ「エローラ石窟寺院」が完成し、丹下誠司ワールドは10作目となった。
 探求心旺盛な丹下さんの今回の作品も中身が濃く、これを出版するとなると、かなり分厚い本になってしまうので、こうして手軽にinternetで高精細画像をアップし、インドの誇る偉大な世界遺産のロマンと感動を読者と共に分かち合える幸せを噛みしめている。
 宗教の信仰心が人類の巨大な芸術作品を創造する例は、枚挙にいとまがない。これほどの大がかりな建築物を長い年月をかけて創造したインド人の建設技術は、ローマの遺跡に匹敵する高度なもので、建設会社に勤める丹下さんですら、その技術力に驚嘆しておられる。
和田義男
 この作品を何度も推敲してみると、作品の取材と制作に込められた丹下さんの熱意や美意識、暖かい眼差し、インド文化を多面的に捉えた第一人者としての自負心や探求心などが強く感じられる。美しい原色が退色し、異教徒たちによって顔面が削りとられ、破壊を受けた宗教遺産。興味のない方には、みすぼらしく地味な作品にちがいない。しかし、大画面で詳細に観察すれば、必ずや日本の仏教文化の源泉たるエローラの遺産に秘められたロマンと感動を見出すことが出来るだろう。
  朝涼や観音菩薩慈悲深き  北舟 

あさすずや かんのんぼさつの じひぶかき

Cool morning, merciful Kannon the Buddhist saint.

【編集子が選ぶ名作】

エローラ第12窟の観音菩薩三尊像

エローラ第12窟の観音菩薩三尊像

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 丹下さんの Microsoft Word で書かれた原作は、既に5月の連休に完成しており、私の怠慢で年末の発表となってしまった。感動写真集の新人の作品を優先したことや、初めての写真展を東京・大阪で開催したことなどで遅れてしまったことをお詫び申し上げたい。
 当サイトの文体は、簡明直截な「である調」に統一しているが、丹下さんに関しては、「ですます調」の原文をそのままアップしている。丹下節とでもいうべきウィットに富んだ独特の語り口を尊重したためで、他の作者や読者の皆様のご理解をお願い申し上げる。 < 完 > 2008年12月19日 監修 和田義男
  夏野原廃墟の岩屋巡る旅  北舟 

なつのはら はいきょのいわや めぐるたび

Summer field, a journey to the cavern temple of ruins.

【編集子が選ぶ名作】

エローラ第16窟の遠景

エローラ第16窟の遠景

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