御幣（ごへい）を持って舞う祓（はらい）の舞。平手の舞は、同じ所作が東西南北で繰り返し繰り返し行われるので、かなり単調となり、観客は次第に睡魔に襲われる。

　神庭（こうにわ）の東側に設けられた神座（こうざ）には神々が鎮座し、その前で神楽が奉納されている。神座上段中央に祀られた円形の注連縄がかけられた箱は、天照大神（あまてらすおおみかみ）を祀る筥宮（はこみや）である。

途中で荒神杖を持った入鬼神（いれきじん）（稲荷）が入る。

　天孫降臨の際、この地上には水がなく、天村雲命（あめのむらくものみこと）が天真名井の水種を高千穂に移したという。この井戸は、高千穂町くしふる神社の近くにあり、推定樹齢1,300年の巨大な欅（けやき）に覆われている。

　親神は、御子神の舞を止めたりして、批判や忠告をする。親が子を鍛える風景を神楽にしたものであるという。高千穂の夜神楽は、「命（みこと）づけ」といって、全ての舞い役に神名がつけられている。

　「岩潜」は岩間を走る激流の意で、太刀をくぐる舞の手があることからその名が生じたとされる。ここでも赤い鉢巻に白紙の宝冠をさしている。四人各々隣の舞手（まいて）の剣先をにぎり、体をくねらして太刀を潜る。躍動感にあふれた舞であり、相当な体力・技術が要求される熟練者の舞である。

　４人潜りから始まり３人潜り、２人潜りと舞っていく。迫力ある太刀さばきや身のこなしが素晴らしく、太刀を見事に潜るたびに、観客から大きな拍手があがった。